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Lambretta LI150 series2 "Full Restoration"
2016
フルレストア製作しました、LI150 シリーズ2です。
基本的には、1961年にこのLIがイノチェンティ工場から出荷された際の、当時の仕様を目指したレストレーションを前提とし
お客様のご希望も交え、点火・電装系、メーターフェイス、ケーブル関係、エンジン仕様、アクセサリー類等々
各部仕様変更を取り入れて仕上げさせていただきました。
本格的な組み上げ作業に着手する前にご成約をいただきましたので、お客様のご希望を取り入れながらの製作も可能でした。
部品類に関しても、極力元々付いていたオリジナルパーツを使用します。
新品デッドストックのNOSパーツを随所に使用してのレストアも手段としてはありますが、納期やコストも相当のものになってしまいます。
修正可能なレベルの劣化・ダメージの部品については、補修・再メッキ等リビルドを施し再生・再利用、
破損や消失している物、取替えられている物については、ストックしているデッドパーツを用いて
可能な限り元々本来の仕様で組み上げていきます。
箇所によって、特にエンジンパーツや、消耗部品、入手困難な部品、また現代の基準で造られた部品の使用が推奨される箇所等に関しましては
良質な新品リプロパーツを用いて組み上げます。
オリジナルスペックにプラスアルファ、そして当社が持つ現代のテクノロジーを取り込む事で
日常使用でも更に快適に扱えるクラシックランブレッタとなります。
先ずは、完成車両写真から先にご紹介いたします。
それでは、だいぶ省略してはおりますが、レストレーション作業の流れをご紹介します。
ベースとなる車両は、当社ストックの1961年式 LI150。
車両の全体的なチェックを行い、各部点検、固体の特徴等を確認、記録をしながら全て分解します。
早速、必要に応じた修正・補修を行っていきます。
まず、車体の重要箇所でありますフレーム、フォークの状態を厳しくチェック。
スタンド、新品のベアリング類等も使い、再び組み付けて、細かく計測・検査していきます。
ごく僅かなクラックが入っていたり、微妙な曲がりがある場合でも見逃さず、修正作業を行います。
フレーム周りの作業の一例としまして、フロアフレームストラット。
高い確率で曲がりやクラック、折れ等のダメージがが見られる部分でもあります。
古い車両や、走行距離の高い車両ですと、やはりダメージのある車両が多く見られますが、
レストア後そんなに経っていないであろう車両でも、曲がってしまっているケースも少なくはありません。
スタンドを取り付ける箇所で、負担の掛かる場所の割りには、スマートな構造となってますので、
ダメージの蓄積は仕方ない部分でもあります。
スタンドが傾いてきたり、レッグシールドとフットボードの位置関係がずれてきたり等の症状が出てきて、
修理の依頼に来られるお客様も少なくありません。
組みあがった車両で、この箇所の修理となりますと、外装類を外したり、現状に合わせて採寸測定したり等、
結構大掛かりな作業になってしまいます…。
フレームの採寸測定、スタンドの動作確認、レッグシールドとフットボードを取り付けての位置確認等を行いながら進めていきます。
各部点検、必要に応じた修正・補修、確認、それらの一通りの諸作業が終わりますと、
全てバラした車体部品を、再びある程度の状態まで組みあげる「仮組み作業」を行います。
ネジ穴も一ずつ確認し、補修が必要な箇所があればリコイルを行い、適正なサイズで復活させていきます。
「仮組み」と言うものの、各部適正なトルクでしっかりと組み上げていきます。
そして組まれた状態での全体的な再チェックを行います。
バッヂ類の仮付け、ボディパーツのチリの確認、バランス、板金作業の必要な箇所等の確認をします。
板金塗装前の最終チェックとも言える工程です。
問題が無ければ、再び全て分解し、外装類パーツ等は板金塗装の工程へと入ります。
その間に、エンジン関係の作業に入ります。
ブラスト処理を施したエンジンケースに、組み上げていきます。
仕様は、当社の基本水準、快適・頑丈・安定な仕様は勿論の事、お客様のご希望も取り入れた内容で製作します。
ノーマルですとややパワー不足感も否めない150ccエンジンは、175ccへとボアアップ。
ポートもステージ4に変更することで、だいぶ走りの印象も変わります。
勿論、単純な構成変更ではなく、各部精密な計測、的確な加工を施し、組み付けていきます。
クラッチは4枚プラス強化スプリング仕様、クランクはGPタイプクランク、点火・電装系は12VCDI仕様に変更。
bgm製のCDIパーツとAF Rayspeed製CDI用軽量(1950g)フライのバランスの取れたの組み合わせです。
吸気は、ノーマル従来のエアクリーナーボックスを使用する形ですが、キャブレターはケイヒンPE20を採用。
その他各部にも信頼性の高いパーツを導入しております。
外装類パーツが板金塗装から上がってきました。
ここでも一通り状態のチェックを行います。
塗装により塗膜が乗ったネジ穴の修正作業を行います。
作業中の汚れ・傷つき等を防ぐ為、必要箇所に養生を施しましたら、スタンドを取り付け、組み付け作業に入っていきます。
まず、ハーネス、ケーブル類の位置決め、シート(写真では別のシートが乗っておりますが)、テールランプ、
ストップランプスイッチ、内臓パーツ類等を取り付けていきます。
CDIパーツ等現代の機能パーツは、出来る限りオリジナルのルックスを崩さないため、極力違和感のない様に取り付けました。
平行して、足回りの組み立ても行っていきます。
安全走行に大きく影響しますので、寸法、動き等を精密に計測・確認しながら的確に組み上げていきます。
フォークリンクをはじめ、オリジナルのメッキパーツ類も再メッキを施し、新品さながらの状態にリフレッシュされております。
完成したフロントフォークを装着し、レッグシールド、ブレーキペダル等も組み付けていきます。
ハンドリング、ケーブルワークも乗り味に重要な箇所ですので、これらも的確に組み、調整を行います。
組みあがったエンジンも搭載され、だいぶモーターサイクルの形になってきました。
位置関係や動きの確認、各部微調整を入念に行います。
外装パーツ類も取り付け、概ね組みあがると、いよいよ走行を兼ねての試験作業です。
走行に関する全てと言っても過言ではない、あらゆる箇所の動作・状況を時間を掛けて確認します。
修正必要があれば修正を行い、最終セッティングを行います。
試験作業で合格判断となりましたら、バッヂ、エンブレム、アクセサリー類を装着し、納車前の最終整備作業を行い、完成、お渡しとなります。
例えばこのモデルの車両ですと、製造から50年以上が経過しております。
全くの健康な状態を保っている例はごく稀なケースと考えるのが自然でしょう。また、1台1台それぞれに相当の歴史があります。
ゆえにフルレストア作業は、容易な作業ではありません。
ですが、こうして50年以上の歴史を遡り、現代に1台復活・再生させる事は
やはり、レストアラー冥利に尽きると言っても過言ではありません。
当時のイノチェンティ工場から出荷されたばかりの新車のランブレッタに乗る事は、
現代においてほぼ不可能と言えます。憧れの一つでもあると思います。
たとえ状態の良い貴重なオリジナルコンディションの車両であっても、その点に関しましては例外ではないと思います。
そんな理想に少しでも近い感覚を楽しんでいただけましたら、幸いです。
ありがとうございました。
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