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Lambretta TV series3 "Engine Overhaul and Tune-Up"
2015
エンジンオーバーホールと新キット"CASA 210"キット導入のご依頼です。
元々のご依頼内容は、ギヤ周りの修理・交換作業と言うことだったのですが、
各部点検~作業を進行して行くと、色々と問題点・修正必要箇所が発覚。
消耗系以外でも問題点が目立ちましたので、オーナー様に報告・相談の結果、エンジンオーバーホール、
シリンダーキット等も交換する方向へと変更となりました。
この様に当初ご依頼いただいた内容の他にも問題点が出てくる事は珍しい事ではありません。
基本的にはオーナー様の判断に委ねますが、実車や写真等で症状を確認していただき
問題箇所の重要度、問題箇所を修正しない事で起こりうるアクシデント内容、その理由や原因、コスト等を説明し、
最善の提案をさせていただきます。
まず、エンジンを下ろしての本格的な整備を行う前に、すべき点検・確認を行っていきます。
ギヤオイルの量・状態でもある程度の判断ができる事もあります。
本来ケース内にはギヤオイルが満タン時で700ml程の量が入っておりますが、
この車両の場合、100mlに満たない程度の量しか残っておりませんでした。
危険な状態で乗車していたと言えます。
(この時点で、オーナー様にはエンジンが良くない状態であろう事はお伝えしました…)
目視でも修正必要箇所等の確認をしていきます。
ガソリンコックがサイレントブロックに干渉している状態で取り付けられており、
これもコックの破損、タンクの破損等の大きなアクシデントに繋がりかねない状態だったと言えます。
その他不良箇所等もチェック・メモしていき、エンジンを脱着しての作業へと入ります。
エンジンは"mugello"キットが組み込まれておりました。
シリンダー、ピストン、ピストンリングも磨耗過多。
シリンダーキットも交換する事となり、新キット"CASA 210"を使って組み上げる事となりました。
エンジンを分解した結果、
クランク、マグフランジ、フライホイール、スプロケット、レイシャフト、チェインスライダー、
クラッチアッセンブリー、セレクタースライディングドッグ… とにかく殆どのエンジンパーツが不良な状態となっておりました。
また、クランクケースも溶接補修が必要な状態。
サイレントブロックも、ガソリンコックとの干渉でだいぶ掘られていたので要交換です。
エンジンオーバーホールを選択した事は正解だったと言える状態でした。
かろうじて何とか動いていたと言う状況です。キャブレターのセッティングも大幅に外れておりました。
また、"mugello"キットにビッグキャブ、スポーツサイレンサーが入っているものの、
クラッチはノーマルの4枚で構成されていたり等、根本的に出力に見合った構成で組まれていない処から
おそらく元々、本来の性能・パワーは全く出ていなかったと思われます。
分解したエンジンは細部まで丁寧に洗浄し、ケースの補修等を済ませ、組み上げに入っていきます。
使用する部品に関しても、オーナー様と相談をしながら選んでいきます。
クランクはイタリア製GPタイプを大端部接着加工を施して使用、
クラッチはbgm製"SUPERSTRONG"6プレートクラッチキットをソフトフィール仕様に加工、
フライホイールはAF Rayspeed製CDI用軽量(2000g)フライホイール、
マグフランジはMisanoフランジ、レイシャフトはMB-Developments製、
セレクタースライディングドッグはLambretta Evergreen製等
要所要所に信頼性の高いパーツを使用し、組み上げました。
"CASA 210"キットも、各部計測、適切な加工を施し、組み付けていきます。
エンジンが完成し、車体に搭載。更に各部調整、必要な加工を施し、詰めていきます。
吸気システムも変更となりましたので、このあたりの調整も行います。
テスト走行、細かい精度でキャブレターセッティングを行っていき
問題がなければ作業完了となります。
エンジンの特性等をオーナー様に伝え、その他メンテナンス等に関するレクチャー
また他に気になった点等があれば(例えば、今回施さなかった足周りの状態など)オーナー様にお伝えします。
"CASA 210"...ピストンバルブでのチューニングで、良い選択肢のひとつになるのではないでしょうか。
日頃の街乗りからロングツーリングまでストレスなく、スムーズな乗り心地を楽しんでいただけると思います。
ありがとうございました。
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